🧬 分子生物学 Interactive Lab

FY2026 · 慶應義塾大学薬学部 · 高橋大輔

LEC 01

セントラルドグマ入門

4つのミニツール + 復習クイズで遊びながら理解を深めよう

📄 講義スライドPDF 📄 講義スライドPDF (再度試験) 📓 NotebookLM で質問・音声復習

※ 「講義スライドPDF」と「講義スライドPDF (再度試験)」は全く同一のものです。本講義 (140260) の方は左、再度試験 (144965) 受験者は右をお選びください。

🌍 Genome Scale Explorer

生物ごとのゲノムサイズ・遺伝子数・タンパク質コーディング率を比較しよう。
クリックで詳細表示。スケールを切り替えてみるとヒトゲノムの位置付けが直感的にわかる。

💡 C-value paradox: 生物の「複雑さ」とゲノムサイズは比例しない。 アメーバ (Polychaos dubium) のゲノムはヒトの約 200 倍。 なぜか? → 大量の非コード配列(反復配列、ポリプロイド化の名残)を含むため。 ゲノムサイズ ≠ 遺伝子数 ≠ 生物の複雑さ、という事実は分子生物学の重要な教訓。

📖 Codon Decoder (ORF Finder)

mRNA 配列からタンパク質を「翻訳」してみよう。細胞内でリボソームがやっていることを自分の目で追体験する。

🎯 このツールの目的

遺伝暗号(genetic code)は「3塩基 (codon) = 1 アミノ酸」というルール。 でも mRNA 配列を渡されて「どこから翻訳が始まる?」「本当のタンパク質コード領域はどれ?」 を見抜くのは意外と難しい。6 つの reading frame(順鎖 3 + 逆鎖 3)のうち、 生物学的に意味のある ORF (Open Reading Frame) を特定する体験ができる。

バイオインフォマティクスの基礎: NCBI の ORFfinder や Expasy Translate と同じことを、この場で小さく再現する。

📝 使い方

  1. 下のテキスト欄に mRNA 配列(A/U/G/C、T でも自動変換)を貼り付け
  2. 「翻訳する」ボタン or 「例題をロード」で自動サンプル
  3. 6 つの reading frame が表示される(+1/+2/+3 = 順鎖の 3 フレーム、−1/−2/−3 = 逆鎖の 3 フレーム)
  4. 最長 ORF を含むフレームが 緑背景 でハイライトされる(⭐ マーク付き)

🔍 結果の読み方

コドンの色分け

  • AUG = 開始コドン (Met, メチオニン)。真の ORF はここから始まるはず
  • UAA / UAG / UGA = 終止コドン (Stop)。ここでリボソームが翻訳を終了
  • UGA = 通常は終止だが、SECIS があると セレノシステイン として翻訳される(黄色=候補マーク)

ORF とは?

ORF (Open Reading Frame) = 「開始コドンから終止コドンまでの、途中で終止コドンに遮られない読み枠」。 長い ORF ほど「偶然ではなく本物のタンパク質コード領域」である可能性が高い。 6 フレームのうち 1 つ(多くの場合 +1)に極端に長い ORF があれば、それが翻訳される領域。

なぜ 6 フレームを試すのか?

DNA の 3 塩基周期性 (reading frame) は開始位置で 3 通りあり、さらに DNA は二本鎖なので順鎖・逆鎖でそれぞれ 3 通り × 2 = 6 通りの読み枠がある。 どれが真の ORF かは生物学的に決まっている(プロモーター・リボソーム結合部位等)が、配列だけ見るとき全部試す必要がある。 これが「ORF finder」の基本戦略。

1 文字アミノ酸コード

A=Ala, C=Cys, D=Asp, E=Glu, F=Phe, G=Gly, H=His, I=Ile, K=Lys, L=Leu,
M=Met, N=Asn, P=Pro, Q=Gln, R=Arg, S=Ser, T=Thr, V=Val, W=Trp, Y=Tyr,
* = 終止コドン

🧪 試してみる例題

以下を順にコピペして結果を比較しよう:

  1. 簡単な ORF: AUGGCCAUGGCGCCCAGAACUGAGAUCAAUAGUACCCGUAUUAACGGGUGA → 期待される翻訳: MAMAPRTEINSTRING*(隠れメッセージ入り)
  2. ヒトインスリン A 鎖の一部: AUGGGCAUCGUGGAGCAGUGCUGCACCAGCAUCUGCUCCCUCUACCAGCUGGAGAACUACUGCAAC → 期待: MGIVEQCCTSICSLYQLENYCN
  3. ランダムに見えるが ORF が隠れている配列: GCAUAUGAUGAUGGCUAUGUGAUAAGCUAGUAAUGA → 複数のフレームで停止コドンが早く来る。どのフレームが最長?
💡 UGA の二重機能 (発展): 通常は終止コドンだが、mRNA の 3' UTR に SECIS エレメントがあると、 専用 tRNASec によって セレノシステイン (Sec, 21 番目のアミノ酸) として翻訳される。 このツールでは Sec 候補として黄色ハイライトで示すが、実際の Sec 挿入は SECIS の有無に依存するため、 ここでは「ここに UGA がある」という情報提示のみ。
ヒトには約 25 種のセレノプロテイン(グルタチオンペルオキシダーゼ、脱ヨウ素酵素など)が存在し、薬学的にも重要。 詳しくは 復習クイズ問9 で。

🎯 Central Dogma Assembler

分子(DNA, RNA, Protein)とプロセス(Replication, Transcription, Translation)をドラッグ&ドロップで正しい順序に並べよう。

パーツ(ここからドラッグ)

セントラルドグマ(ここにドロップして正しい順に並べる)

💡 Crick (1958, 1970) の定義では、セントラルドグマは「配列情報の流れ」についての原則。
一般的な流れ: DNA →(複製)→ DNADNA →(転写)→ RNARNA →(翻訳)→ Protein
例外: 逆転写 (RNA→DNA、レトロウイルス・テロメラーゼ)、RNA 複製 (RNA→RNA、RNA ウイルス)。
Crick が「決して起こらない」とした流れ: Protein→RNA、Protein→DNA、Protein→Protein(情報の)。

💊 Drug-Target Matcher

各薬剤をセントラルドグマのどの段階を阻害するか、ドラッグ&ドロップでマッチさせよう。
薬学部生向けの臨床接点問題。

💊 薬剤(ドラッグ)

🎯 標的段階(ドロップ)

💡 セントラルドグマ各段階は主要な創薬標的。 特に感染症薬は宿主と病原体の違い(細菌リボソーム vs 真核リボソーム、レトロウイルス逆転写酵素等)を利用した選択毒性で設計される。 がん治療薬には DNA 複製・転写を標的とするものが多い。

✅ 復習クイズ(10 + 国試チャレンジ 3問)

各問題の選択肢をクリックすると、その場で正解・解説が表示されます。
📘 問1-6: 講義内容の基本問題(必須)
📚 問7-10: Genomes 5 (Brown 2023) 章末問題を多肢選択化(教科書ベース、必須)
🏆 問11-13: 薬剤師国家試験過去問の改変(発展・チャレンジ。Lec01 範囲外のトピックを含むので解けなくて OK)

0 / 13 問回答済み
0 / 0
正答数 / 回答済

結果

0 / 13

💡 合格基準: 13問中11問以上正解で修了証を発行できます。不合格の場合はリセットして再挑戦してください(選択肢の順番が毎回変わります)。